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次亜塩素酸水の空間噴霧について(私見)

投稿日2020/06/07

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今回は次亜塩素酸水について八尾市河村歯科医院での取り組みと考え方をお伝えいたします。
あくまでも私見であることを最初にお断りしておきます。(やや長文です)

現在新型コロナウイルス感染症に対し10項目以上の対策を講じておりますが、その中に次亜塩素酸水(20ppm)の空間噴霧も含まれています。
導入のきっかけは、くしゃみをすると微細粒子が2−3m先まで飛散し、さらに3時間ぐらいはウイルスが生きたまま空間を漂う。
という実験とコンピューターシュミレーションを見たからです。

当院では新旧、大小問わず5台の空気清浄機が24時間稼働しています。これは控えめに見て1−2分もあれば院内の全ての空気が入れ替わる能力です。
これだけでも十分ですが、
もし陽性の患者が院内で咳やくしゃみをしたと想定し、これが仮に冷房を入れて締め切っている状態であっても飛沫化したウイルスはすぐに吸着、不活化されるものと信じています。
仕事中最も長く居ている空間が、自らが安心して居られないようでは怖くて仕事どころではありませんので。

では、なぜ、次亜塩素酸水を空間噴霧するのか?

これからの季節冷房を入れないと今度は熱中症のリスクが高まります。
ご存知のように冷房を入れると空気は乾燥しやすくなります。乾燥するとウイルスやカビ、花粉等はより長く空気中を漂いやすくなります。
そこでしっかり加湿しウイルスを地面に落とせたらいいな、と思い行っています。
日中外気温が25度を超えている昨今、加湿器内の溜めた水はすぐにカルキ(塩素)が抜け、カビや雑菌がはびこりやすくなります。
そうなると空間中にカビや雑菌を持続的に噴霧することになってしまうので、それを防止するためにも低濃度の次亜塩素酸水を添加し使用しています。

決して、スタッフや患者さまの体表面を殺菌、消毒するつもりで行っているわけではありません。


新型コロナウイルスは未だ不明な点が多く、これで万全!というガイドラインもありません。
次亜塩素酸水は新型コロナウイルスには「効果がない」かもしれませんが、インフルエンザウイルスや、ノロウイルス、食中毒の原因菌であるO-157等には効果が認められています。
歯科医院では新型コロナウイルス感染症のみをターゲットに対策を考えているわけではありません。
B肝炎ウイルスや、C型肝炎ウイルス、さらにHIVも視野に入れ対策を講じる必要があります。


ところで、最近ではマスクを着用している人が大半ですが、そもそもウイルスのサイズとマスクの目を比べればウイルスをキャッチするというより、むしろスカスカでウイルスは自由に通り抜けるわけですから、一時「マスクの有効性は認められない」という記事があったことを覚えているでしょうか?

ではなぜマスクをするのでしょうか?

本当は空気中に漂うウイルスをマスクでトラップする、というより自分が咳やくしゃみをした時にウイルスを周囲に飛散させない。といった方が目的としては大きいと思います。

なら自分が陽性でなければマスクは不要。

ということになります。特に夏場は熱中症のリスクも懸念されています。
なのに皆さんはマスクを着用していますよね。
普通に買い物に出かける時、その間どれだけウイルス含んだ空気を吸っているでしょうか?
マスクを外して破棄する時、ヒモを持って「マスク表面には絶対に触れないように注意して」ここが最も汚いから、なんて説明している専門家もTVに出演していましたが、そんなに多くのウイルスが付着しているでしょうか?

コロナ病棟の医療従事者ならいざ知らず、散歩に出かけて帰ってきたときのマスクはどうでしょうか?
もちろん無闇に触る必要はありませんが。

でもオーバーシュートは免れたとはいえ現在の日本の感染状況であればマスクをして出かけたいですよね。安心のために役立ちますよね。つまりここまできたら「お守り」の役目でもいいのではないでしょうか?

皆さんも受験の時に「合格お守り」を手にしたことと存じます。(私も複数持っていて「神様が喧嘩するよ」って言われていました。笑)

医療ではプレセボ(プラシーボ)効果というものがあります。医者に「この薬よく効くから」と言われて飲むと実際よく効くというものです。それが全く薬理作用の異なる薬であったとしても、人の思い込みというのはその人の健康状態をも左右させてしまいます。

この際、次亜塩素酸水も「お守り」で良いのではいでしょうか?これで空間がよりきれいになっている、と思い込んでもいいのではないでしょうか?

しかし、
「害がある」との意見もあると思います。

我々歯科口腔外科の領域では歯茎が膿んで腫れることがよくあります。
そいった場合は抗生物質を処方することが多いですが、薬である以上副作用もあります。
副作用も嫌ですが、それより有益な主作用があれば、副作用に目をつむり、主作用に期待しながら服用する事も大事だと思います。

次亜塩素酸水の空間噴霧で、大きな副作用とはどんなものなのでしょうか?
ご存知の方がおられましたらご教示いただきたい。

とは言ったものの、今後、新たな知見が得られ次第、対策をバージョンアップしていく必要があります。

現在行っている対策も、3月頃と比べると随分変わってきました。

この記事を書いている(6月6日)時と、1〜2ヶ月もすればまた異なった発想で別の対策を行っているかもしれません。
感染対策のガイドラインができるまでは、限りある資源を有効活用し、良いと思ったことは積極的に行い、ダメと分かり次第切り替えていく勇気が必要です。

いつも当院の感染対策について興味を示して下さる同僚歯科医や先輩、後輩歯科医の皆様にも、日頃電話等では実際の方法しかお知らせできず、考え方等をお伝えする機会がなく、心苦しく思っていましたが、今回の内容で少しでも皆様の理解が進みより良き感染対策が実施されることを期待しております。(情報交換は「密」でいきましょう)

なお、ここの記載内容は現時点での私見であり、今後研究や調査が進み、エビデンスが確立されてきましたなら、それに応じ対策が変化していく可能性が極めて高いことも最後にお伝えして終わりにします。

 ここまでお付き合い頂いた全ての方に感謝いたします。(河村啓司)

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